トレーナーの太田です。
今回は炭水化物についてお伝えします。
炭水化物は、脂質、タンパク質とともに3大栄養素のひとつで、脳や体を動かすといった主にエネルギー源として利用される大切な栄養素です。
ブドウ糖や果糖などの単糖から、構成されているものを総称して炭水化物と言います。炭水化物には大きく分けると、体内に吸収されてエネルギー源になる「糖質」と、消化吸収されずエネルギーにならない「食物繊維」とに分けることができます。
炭水化物は構成している単糖の数が1個のものを単糖類、2個のものを二糖類、2~10数個のものを少糖類、それ以上のものを多糖類と言います。
単糖類には、ブドウ糖、果糖、ガラクトースなどがあり、二糖類にはショ糖、乳糖、麦芽糖などがあります。これらは、すべて体の中でエネルギーになる「糖質」です。ショ糖は、調味料として普段使っている砂糖のことで、ブドウ糖と果糖が結合したものです。また、乳糖はブドウ糖とガラクトースが結合したもので、牛乳に多く含まれています。よく牛乳を飲むとお腹がゆるくなることがあります(乳糖不耐症)。これは乳糖を分解する酵素が足りなくて、消化不良を起こしているのです。
少糖類はオリゴ糖とも言い、腸内の善玉菌を増やす効果があるとして、特定保健用食品にも利用されています。
多糖類には、代表的なエネルギー源となるでんぷんや、グリコーゲンがあります。どちらもブドウ糖が多数結合したものです。また、果物に多く含まれるペクチン、こんにゃくに含まれるグルコマンナン、寒天に含まれるアガロースなどの食物繊維も多糖類に分類されます。
摂取した糖質は腸から体内に吸収されて、主に脳や筋肉など体の細胞が活動するためのエネルギー源となります。エネルギーとして消費されなかった余った糖質は脂肪として体内に蓄えられます。
低糖質、炭水化物抜きダイエットなど、炭水化物を極端に減らして行う、ダイエットが流行していますが、エネルギー不足の状態で筋トレなどの運動をすると筋肉の分解が促進され、筋肉量が減少し、結果的に代謝が低下して期待するダイエットの効果が得られないことがあります。
スポーツによる疲労を防ぐためには、1時間あたり30~60gの糖質摂取が望ましいといわれています。素早くエネルギーになる特性も生かし、運動時の疲労を防ぐためにも糖質は上手に摂り入れるべき栄養素です。筋中のグリコーゲンは体タンパク質の分解を抑えるので、エネルギー源として利用されるタンパク質を節約するためには糖質をしっかりと摂取しなくてはなりません。
人がエネルギーとして使える栄養素は、炭水化物(糖質)、たんぱく質、脂質の3種類がありますが、すぐにエネルギーに変えられるのがブドウ糖です。しかし、体の中では、糖質は少量のグリコーゲンとして肝臓や筋肉の中に蓄えているだけで、余分なエネルギーのほとんどは脂肪として体の中に蓄えられています。
エネルギーとして血液中のブドウ糖を消費してしまうと、肝臓や筋肉の中に蓄えられているグリコーゲンを分解するのですが、その量はそれほど多くないため、グリコーゲンも尽きてしまうと、エネルギーが不足し、疲れやすくなります。
特に、脳は、ブドウ糖を唯一のエネルギー源にしています。脳は、昼夜、活動時休息時問わず、ほぼ一定の速度でブドウ糖を燃焼しており、脳だけで1日に120gものブドウ糖を消費するともいわれています。そのため糖質が不足すると、脳や神経への栄養が行き届かなくなくなるため、判断力が鈍り、注意力が散漫になってきます。
糖質の代謝に関わるビタミンB1と一緒に摂るのがおすすめです。ビタミンB1が不足していると代謝がスムーズに行われず、余分な糖質は脂肪として蓄積されてしまいます。例えば主食の選択で白米よりは玄米、全粒粉パンやライ麦パン、雑穀を多く含んだパンなどを選ぶことにより、ビタミンB1も同時に摂ることができ効率的です。
また、厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準2020年版」のエネルギー産生栄養素バランスにおいて、炭水化物のエネルギー比率は、性別を問わず全ての年齢で50~65%が目標とされています。炭水化物の摂取量の目安として意識すると良いでしょう。
炭水化物を摂り過ぎれば、脂肪として蓄えられてしまいますが、摂らなさすぎも体にとって悪影響もあります。個人個人の代謝量や活動量に応じて適切な摂取を心がけましょう。
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